わが人生のアルバム~1本ブログは「タイ」をテーマにしておりますが、ここではタイとカンケーなく、Tui☆Bangkok が人生で聴いたアルバムから「5枚」を厳選して紹介してみたいと思います。まずは第1弾!! 「SENTENCED/The Cold White Light」 (2002) その昔、リッチー・ブラックモアは「オレがボーカルだったらロニー(・ジェイムス・ディオ)のように歌う」と述べたそうですが、Tui☆Bangkokがもしボーカルだったら「ヴィレ(・レイヒアラ)のように歌う」と恥ずかしげもなく言えます! わたしの音楽人生は約7~8割はメタルで埋め尽くされているわけですが、周囲のひとから共感されることは少ないし、自分としても敢えて味方を求めようとしません。一般的にメタルが評価されづらい原因は、インストゥルメンタル・パートの喧しさよりは「やたら高音のスクリーミング・ヴォイス」にあると思います。それがメタルの魅力のひとつではあるのですが、なかなか心に響くスクリーミング・ヴォイスというのは稀有といえます。ギタリストの魅力で評価されているバンドなどでも「オマケ」としてボーカルはついてくるわけですが、そいつが不幸にも「一定のレベルに達していない」場合には一般人からは「メタルは喧しくて支離滅裂だ」という誤解を受けることもあるわけです。やりたいことはわかるけど、聴いている方も苦しくなるほど無理な高音で歌う場合など、パワーが魅力のはずのメタルが逆に「へなちょこ腰抜け」に成り下がるわけですよ。 別に一般人に認められるためにメタルを聴いているわけではないので、実はそんなことどうでもいいのですが、たとえば「メタルってどこがいいの?」と聞かれたときに、門外漢も黙ってしまうようなアルバムをいくつか用意しておきたいものですね。 北欧フィンランドのメタル・バンド「センテンスト」の本作はそういう意味で万人に自信を持って聴かせられる作品と断言できます。 テーマはなんと「死」。メタルという暑苦しい手法を使って、寒くて乾いた「死」への憧憬を見事に表現し、リスナーを「絶望」の底に沈めてくれるのです。ラウドかつ重厚なインスト・パートだけをとってもメタルの魅力を十二分に楽しめますが、本作の最大のポイントは、中低音の「男」の歌を聴かせるヴィレ・ライヒアラの魂のボーカル。決して叫ばず、激情する部分も必然を感じさせてくれます。 導入曲の「鐘」を現すインスト・パートの爆発が既にハートにぐっさりと癒えない傷を残してくれますが、つづく2曲目の静→動→静→動の激しい展開と悲哀に満ちた歌詞とメロディは「これは自殺者が出るのではないか!?」と思えるほど真実味に満ちています。 ヘヴィな楽曲における感情のほとばしりもさることながら、例えば9曲目の比較的静かな展開の曲においても同等またはそれ以上のエモーションを感じさせてくれるのは、本作におけるヴィレの充実度を如実に現しているといえます。 「男ならこう歌うべき」という見本を示すような本作ですが、意外と中低音域の魅力を聴かせるメタル作品はほとんど見当たらないのです。 残念ながらこの次の作品で解散してしまった「センテンスト」ですが、その最終作や続くヴィレのリーダー・バンド「ポイズンブラック」では期待のボーカルがやや力み過ぎで粗野な印象となってしまい、個人的には今回紹介した「The Cold White Light」だけが「奇跡の一枚」として心に刻まれ続けることでしょう。 ジャンル別一覧
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